起業に込めた想い

2022.11.19

こんにちは。田中です。

2021年7月にデジタル・イノベーションLab(群馬県のITコンサル会社)を立ち上げました。

平凡なサラリーマンがなぜ起業をするに至ったのかについてお話させて頂きます。

当時の心境をありありと書いていくので、少し気恥ずかしいですが、お付き合い頂けると嬉しいです。

これまで歩み

 

 

2009年4月、風が心地よい清々しい晴天の日。

私はとあるIT企業に新卒で入社しました。

 

元々、ITに詳しい訳でもなかった私は、業界特有のカタカナや意識高めの略語と格闘しながら、生活の大半の時間を仕事に費やしました。

 

能力が著しく低かった為、時間でカバーするしか生きていく方法はありませんでした。
(EXCELって何ができるツールなのかも分からない状況からのスタートでした。)

 

ハイレベルな上司、先輩、同僚に追いつくために、またお客様に喜んでもらうために、寝る間を惜しんで仕事に打ち込みました。

 

会社近くの温泉施設で仮眠だけとって朝を迎えるという事もしばしば。

 

そんな生活を長らく続けていくうちに、役職も徐々にステップアップました。

 

任される仕事の規模も個人商店から東証一部上場企業へと次第に大きくなっていきました。

 

責任と比例して、仕事が楽しくなっていきました。

(お客様や会社のメンバーに本当に恵まれました。感謝しかありません!!)

 

プライベートでは、子供にも恵まれ、このままこの会社でキャリヤ形成をしていこうと考えてました。

 

人生の分岐点となる事件

 

そんな中、私の人生を変えるきっかけとなる出来事がありました。
2019年初旬の事です。

 

地元、群馬県では超有名な企業に自社で開発した基幹システムを採用して頂きました。

 

「田中さんに任せるよ」

 

長い間通い詰めアプローチしていたお客様。
営業冥利につきる最高の響き。

手放しで喜んでいました。

 

余韻に浸りながら、チームを発足し、プロジェクトをスタートさせました。

 

納期は、10ヶ月後。

 

税制改定の影響があり、それまでに稼働させなければなりませんでした。

 

しかし、10ヶ月が経過しても一向に立ち上げる事が出来ませんでした。

 

曖昧な要件定義、度重なる仕様変更で膨らむ予算、それに加えシステムのバグ。

お客様のフラストレーションは日増しに高まっていきました。

 

私は営業担当として、お客様からのクレームを受け止め、整理し、メンバーに報告し、改善策を模索する日々。

これまで相当な時間とコストを費やしており、お互いに後戻りができない状態・・・

 

まさに地獄絵図です。

 

そんな最中、お客様の責任者にこんな事を言わせてしまいました。

 

私達は、田中さんを信じて御社に決めた。

システム会社を選ぶという事は、結婚相手を選ぶ事と同じくらい覚悟のいることだ。

 

これじゃあ、” 結婚詐欺 “だよ。

 

 

「・・・結婚詐欺?」

 

 

時間が止まりました。

静まり返った会議室。

 

ゴーーーという鈍い音が頭の中に響きました。

 

積み上げてきた信頼関係が崩れる音です。

 

信じて、期待してくれたお客様を裏切る形となってしまった。

 

ぼーっとした視界の中、絞り出した言葉は、

「申し訳ございません・・・早急に対策を練ります・・・」

 

会議室には、歯切れの悪い言葉だけが響きました。

 

 

意識の変革

 

 

このままではいけない!

強い焦燥感に駆られました。

 

これまでは、営業として受注したら、システムエンジニア(以後SE)チームに引き継いで一段落。

数字を追い次の案件対応へ、という流れでした。

 

今振り返ると、受注後の工程はどこかSE任せだった気がします。

機器の調達や、定例会の参加、課題の管理といった決められた作業を効率的にこなす事が仕事だと勘違いしていました。

 

自身の仕事のスタンスを猛省しました。

 

そして、受注後のプロジェクトマネジメントやクライアントワークも全て自分事として捉え直しました。

 

今まで、感覚で仕事を進めていた点を改め、全て言語化し、体系化しました。

 

プロジェクトメンバーの協力もあり、徐々にトラブルは解消し、何とか稼働させる事ができました。

 

自問自答の日々

 

「本稼働を迎えられてよかったー!はい、次っ!」とは、どうしてもなれませんでした。

 

その後もずっと「結婚詐欺師」という言葉が頭から離れませんでした。

 

当然、お客様を騙そうなんというつもりは毛頭ありませんでした。

しかし、その様に感じさせてしまったのは事実です。

 

自問自答しました。

 

 

・お客様にとって「ベストである」と心から思って提案したか?

 

・提案前に業務をもっと知る努力はできなかったか?

 

・都合の良い事を並べ、誤解を生むような伝え方をしていなかったか?

 

・お客様にとって「ベストな選択」とは何か。

 

 

自信を持って、「最善を尽くした」と答えられない自分が情けなくなりました。

 

「田中さんに任せる」の言葉に浮かれ、喜んでいた日の自分が本当に軽率に思えました。

 

どの様な手順で、何を確認すればそこに行きつけるのか。

その手法には再現性があるのか。

 

研究し、実践し、トライ&エラーを繰り返しました。

また、同時に他社のソリューションの研究も時間を掛けて行いました。

 

そして、自分なりに「ベストな選択」をして頂くための方法論を導き出しました。

 

 

茨の道の選択

 

 

世の中は大クラウド時代。

 

高クオリティ、低価格の月額サービスがこれでもかというほど、溢れています。

 

「自分が売りたいモノではなく、お客様が喜んでくれるモノを提供したい。」

心からそう思うようになりました。

 

では、それを実現する為には、どうするべきか?

何のシガラミもなく、“中立の立場”で、心からお客様に最適だと思うシステムをコーディネートするサービス。

 

システムベンダー(システムを作って提供する会社のこと)に居ては実現が難しいと判断しました。

在籍していた会社がということではなく、ビジネス構造的にです。

 

中立を謳ったコンサル会社にもヒアリングしました。

 

しかし、最終的には得意なソリューションの導入支援やサポートに繋げる導線設計がなされているケースがほとんどでした。

 

無いのであれば、作ろう。
そして、出した答えが『起業』でした。

 

活動する上で決めた、ビジョン・ミッション・バリューです。

 

 

まだ、私の挑戦は始まったばかりです。

 

デジタル変革を恐れずに挑戦した企業のみぞ知る成功体験、失敗体験。

 

その生々しい事例やノウハウを余すことなく発信していけたらと思います。

 

輝かしいみんなの笑顔が溢れる社会を目指して。

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